暖房機器の原理、そのメリットとデメリット(伝導熱編)

2019/01/15

新しい年が始まって早いもので2週間が経ちました。さらに寒さが厳しくなり、空気も乾燥してくるので、風邪をひきやすくなります。健康管理を十分に行い、お体に気を付けてお過ごしください。さて、本コラムシリーズでは前回、輻射熱によって人を温める輻射熱暖房機器についてご説明しました。今回は、『伝導熱』を用いた暖房機器についてご紹介したいと思います。

伝導熱で直接体を暖める暖房機

体を暖める原理としては極めてシンプルで、電気、温水、鉄粉などそれらが持つ熱を直接的に体に与えることで人を暖めます。他の方式が「早く、たくさんの熱を人に伝える」と言う所に注力するのに対して、この方式は人が直接触れるので、熱すぎず、熱を保ち続けることが重要となります。

ただ熱すぎなかったとしても、「低温やけど※1」を負う可能性はあります。ストーブやファンヒーターであれば、火傷のリスクが分かりやすいのですが、低温やけどについてはリスクを軽視される傾向も強く、伝導式の暖房機器を使う上で気をつけなければいけない点です。

メリット

  • 体を直接暖めるのですぐに暖まる
  • 個人に対する暖房効果が高い

デメリット

  • 効果範囲が極めて狭い
  • 低温やけどのリスクがある

※1低温やけど:本来は40~50℃程度であれば火傷を負わないような熱源に長時間触れることにより火傷することを言います。冷たい物質に触り起こる火傷のことではありません。火傷は、細胞が耐えられないほどの高熱により細胞が破壊される現象で、表皮付近の細胞は45℃程度迄ギリギリ耐えられる構造です。あくまで短時間で耐えられる熱であっても、熱が蓄積していけば徐々に細胞は破壊されます。ジワジワ細胞が破壊されますので、細胞が破壊されても本人が気付かないケースが多いです。気付いた時には普通の火傷より重症になっていることが多く、名前の割には恐ろしい火傷です。

床暖房

床暖房は人が接する床を暖めるので「伝導式」「輻射式」「対流式」全ての原理を利用しています。床暖房は、電気で電熱体を暖める方法と、暖かいお湯を床下に流し、その輻射(床を透過する)で人や物を徐々に暖めながら、床そのものを温めます。そうすると、床が温められたことにより対流がうまれ、部屋全体が暖まります。最も冷たくなりやすい足が暖かい床に触れることで、暖かさを実感することもできるため、効率的に自然な暖かさを生むことができます。

欠点は、常に部屋全体を暖めることが目的であり、大規模な工事が必要で電熱体の加熱や温水を作る燃料費も高くなります。自然に暖かい環境を作れる一方で、制約も多いと言えます。

メリット

  • 極めて自然に、且つ効果的に部屋全体を暖めることができる

デメリット

  • 後から設置することが難しい
  • 燃料費がかかる

足元や体全体を暖める機器

人は必ず地面に触れて生活しています。冬は冷たく、夏のコンクリートは熱いですが、これを人の望む温度に変えられれば、快適な環境になります。身近なもので言うと、ホットカーペットなどが該当します。

ホットカーペット

床暖房等との違いはいつでもどこにでも導入でき、使い勝手も良いです。スイッチひとつで使え、足元を暖めてくれます。人は熱源の多い上半身に比べて冷えやすい下半身は、寒さを感じ易く、この部分を局所的に暖めることで、高い暖房効果を得ることができます。

動作原理は電熱線(発熱体)に電気を流しジュール熱で体を暖めているだけです。耐熱性の高い繊維を使い繊維内部に空気を溜め、長時間にわたってゆっくりと足を暖めてくれます。体が重みで熱源に押し付けられるため、低温やけどの可能性が高い製品でもあり注意が必要です。

メリット 

  • 安価で簡単に足元を暖められる
  • 場所を選ばず使える

デメリット

  • 足元などしか暖められない
  • 低温やけどのリスクが無視できない

電気毛布

原理はホットカーペットと同じですが、就寝時に全身に直接当たる形で使用します。掛けたり敷いたりする毛布として使え、温度調節機能が付いています。人体は36℃前後、布団の中はそれより低く、電気毛布は「長時間使用」が前提であり、大気(外気)の温度などを測定し、最適な熱量を発生させる様に設計され低温やけどするレベルの熱にはなりません。伝導式の暖房機器は簡単な構造の物が多いのですが、その中でも電気毛布は安全性に配慮したものです。

メリット

  • 就寝時に安全に使える
  • 密閉性の低い家に最適

デメリット

  • スイッチ部などが就寝時に邪魔になる
  • 気温次第で寝苦しいことも

携帯性の高い機器

移動中や移動先でも温かさを求めます。ここでは、携帯性の高い暖房機器について紹介します。

湯たんぽ

温水を入れて熱を少しずつ体に移すようにして暖を取る製品です。温水を入れるだけで、安価で比較的長く暖まることができます。

欠点は温度調整が極めて難しく、低温やけどは大半湯たんぽが原因と言われているほどで、熱湯を湯たんぽに入れてそれをそのまま使ったり、薄い布一枚で十分だと思って使ったりすると低温やけどに発展するようです。また、水の温度や量に応じて暖かい時間も限られており、携帯用と言え持ち歩くのも簡単ではありません。主に、屋内で布団などに入れて抱きかかえるようにして使われる(熱いお湯だと非常に危険)ケースが多いようです。

メリット

  • 温水を入れるだけですぐに使える
  • 非常に経済的

デメリット

  • 温度のコントロールが難しい
  • 低温やけどのリスクが極めて高い

最近、温水ではなく水よりも蓄熱量の多い物質をレンジで暖めて使うモノも販売されています。

携帯カイロ

軽くて持ち歩きに便利で、袋から出すだけで使え、携帯用温熱機器の王者です。

原理は鉄が酸素と結びついて酸化する際に発生する酸化熱を利用しています。それだけでは、すぐに温まらないので、鉄が錆びやすいように様々な素材が入っています。携帯カイロの中には、鉄粉以外にも水を保持する「バーミキュライト」、酸素を保持する「活性炭」、食塩を保持する「吸水性樹脂」などが一緒に入っています。そして、袋は酸素が入り込まないように密閉され、開封して酸素に触れることによって反応が始まって熱を発生させます。カイロは酸素を取り込むので、部屋中埋め尽くすほどのカイロを一度に使ったら窒息してしまいます。熱くなり過ぎない様に抑えられてはいますが、それだと全然暖まらないので低温やけどしてしまう程度の熱量は出ています。直接体に貼り付けたりすると非常に危険ですので、使い方を確認して使うことが肝要です。

メリット

  • 軽量小型で持ち運びに便利、手軽にどこでも暖められる

デメリット

  • 使い捨て
  • 熱量が小さい
  • 低温やけどのリスクがある

おわりに

いかがでしょうか?今回は、伝導熱と伝導熱を活用した暖房機器についてご紹介しました。今回ご説明した暖房機器はすでに皆様のご家庭でよく導入されているものだったかと思います。本コラムシリーズでは、3部に渡って様々な暖房機器のご説明をしましたが、少しでも皆様のご参考になれば幸いです。それぞれのライフスタイルに合わせた、最適な暖房機器をご活用していただき、今年の冬も乗り越えていただければと思います。


雫 二公雄

日立製作所でインターネット等情報関係分野を担当し、その後、中堅企業にて金属表面改質技術の研究開発を取り纏めた後、ベンチャーや大学、研究機関等の新技術の事業性評価や管理を担当。現在は、半導体関係、二次電池、中小企業事業性評価支援等を推進している。現在は、日立ITユーザ会社会システム分科会長、長崎県ロボット事業県都委員会検討委員、一般社団法人日本ゲルマニウム研究学会理事長などを務める。

Produced by

The EDGEWATER's Corporation

Manufactured by

PROTOTECH Incorporated