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熱源機と周辺機器の準備|輻射パネル工事ー施工編1

高所作業1-THEAR輻射パネル冷暖房シアー

据付工事の作業に入る前に

前回は、シアーのオンラインパネル選定シミュレーターを活用した、輻射パネルの配置計画についてご紹介いたしました。今回からは、実際に、輻射パネルによる冷暖房システム構築するにあたって必要な工事の内容について詳しく説明させていただきます。また、工事について不明な点や質問等がございましたら、シアーウェブサイト内の問い合わせフォーム、もしくは、シアーコールセンターにご連絡をいただければ、丁寧に対応させていただきますので、お気軽にご連絡をください。

システム概要

それでは、最初に、輻射パネル冷暖房シアーのシステム概要についてご説明させていただきます。以下の画像をご確認ください。シアーのシステムは、輻射パネルと熱源機(室外機)を冷温水管(冷媒管)で接続し、指定の循環水(不凍液)を循環させるだけのシンプルな構成となっています。

シアーのシステム概要

輻射パネルの冷暖房システムの構築は実に単純です。

居室内に設置した輻射パネルと熱源機を配管でつなぎ、リモコンで水温調整し、冷暖房をするという原始的なシステムです。また、夏季運転時はパネル本体が結露するため、パネル下のドレンパンとドレン排水管を設置します。

室内電源について

輻射パネル本体自体には駆動部分を動かすための電源の用意や配線工事等の準備は不要です。なお、通常のエアコンと同じく、温度や運転時間等を制御するリモコンはもちろんございますが、これも輻射パネルではなく、室外機を制御するものであることに加えて、信号線により室外機に制御信号を送るだけなので、同じく電源の用意や配線工事等の準備は不要です。

シアー本体(パッケージ)以外で準備が必要なもの

パネル本体以外で必要なものは、主に以下の3種類です。

 ①熱源機(室外機)※リモコン含む

 ②パネルと熱源機を繋ぐ配管および継手等の部材

 ③ドレン配管および継手等の部材

本コラムではまず①の熱源機(室外機)についてご説明いたします。

必要なもの その①‐1|熱源機

熱源機の種類

輻射パネル冷暖房における、熱源機の選定は、対象となる建物やパネルの条件によって異なります。通常、一般の建物の場合は、電気式の「ヒートポンプ式冷温水熱源機」という機器を主に使用しています。

輻射パネル冷暖房に使用される熱源機の一例

規模が大きい建物や、研究所、工場などの特殊施設の場合、「チラーユニット」を使用する場合もあります。また、電気式以外でもガス式の機器を使用する場合があります。このコラムでは、一般的に使用している「ヒートポンプ式冷温水熱源機」についてご説明いたします。特殊施設の場合は、シアーセールスサポートまでお問い合わせください。

ヒートポンプ式冷温水熱源機について

一般の建物におけるヒートポンプ式冷温水熱源機は、主に、長府製作所製・三菱電機製・コロナ製を使用しています。それぞれのメーカーによって特徴は異なりますが、性能等に大きな差はありませんので、メーカーを選択する基準は、あくまでもお客様サイドにおける建物条件や用途、仕入価格などによって選定いただければと思います。

ちなみに、シアーコーポレーション(以下、当社)にて直接取り扱いしておりますのは、長府製作所製となっています。したがって、本編では長府製作所製の熱源機を使用する事例でご説明させていただきますので、あらかじめご了承ください。

長府製作所製 AEYC-0640ME1

ヒートポンプ式冷温水熱源機の出力・容量

出力は各メーカーによって異なりますが、3kwタイプ~10kwタイプが主流です。前回のコラムで説明した、熱負荷計算シミュレーターの結果から、必要な熱源機の容量を算出することができます。

長府製作所製熱源機の場合
※対応パネル枚数はパネルサイズや条件によって変動しますのでご注意ください。

注意!

熱源機の容量が不足した場合、本来の冷暖房能力が出せなくなる場合がありますので、熱源機の選定には十分ご注意ください。不明な点等ございましたら、シアーセールスサポートまでご連絡ください。

ヒートポンプ式冷温水熱源機の電源

熱源機本体は単層200Vで動きますので、室外機設置場所に単層200Vの電源を用意する必要があります。工事に入る前に、熱源機の設置する位置を必ず確認してください。

配管経路(系統)を考慮する

熱源機の設置位置によって、配管経路が長くなったり短くなったりします。当然ながら、配管経路が長くなり複雑になれば、職人様の手間も増え、工期が延びるだけでなく、施主様への工事代金の負担も増えてしまいます。

配置計画を実施する皆様におかれましては、熱源機の位置によって、配管経路にどのような影響をおよぼすかを念頭に置いていただいた上で、熱源機の位置を決定してください。こちらも、施主様に、熱源機の位置によって施工内容および施工費用がどう変動するかをしっかりと説明いただき、最終的な設置位置を決定していただくことをおすすめします。

注意!

配置計画の際、最適な配管経路を考慮した上で、熱源機の位置を決定してください。

高低差(揚程)を考慮する

複層の建物の場合は、室外機から配管までの最高(最低)の位置がどれぐらいあるかを考慮しなければなりません。熱冷媒は液体ですので、高さによる影響はその大きさに比例します。

また、熱源機は熱交換した液体を、ポンプで送り出す構造になっているため、送り出す方向が下方向か上方向かで、同じ水圧・水量でも、その能力は大きく変動します。高さや熱源機の位置によって、施工内容および施工費用が変動する場合がありますので、配置計画時にしっかりと現場の状況を確認した上で、最終的な設置位置を決定していただくことをおすすめします。

ヒートポンプ式冷温水熱源機には半密閉タイプと密閉タイプがある(長府製作所製の場合)

ヒートポンプ式冷温水熱源機(長府製作所製の場合)には、半密閉タイプと密閉タイプがあります。当社としては、ほとんどのケースで半密閉タイプを推奨しています。密閉タイプを採用した場合、別売の「密閉回路変更セット」・「密閉膨張タンク」の他、圧送ポンプ(配管エア抜き時のみ)・配管用部材(継手・バルブ等)が必要となり、コストが上がってしまうからです。各熱源機メーカーが発表している能力評価がありますので、熱源機をどの階に設置するべきかをしっかりと考慮いただき、熱源機の位置を決定してください。

長府製作所製冷温水式ヒートポンプの高さの許容範囲

高さ熱源機の位置によって施工内容および施工費用がどう変動する場合がありますので、配置計画時にしっかりと現場の状況を確認した上で、最終的な設置位置を決定していただくことをお勧めします。

ヒートポンプ式冷温水熱源機を設置する場所について

熱源機を設置する場所は、工事の手間・コストをはじめ、パネルの能力などに大きな影響を与える可能性があります。配置計画時にしっかりと現場の状況を確認した上で、適切な配管経路プランを立ててくださいますようお願いいたします。

主寝室や書斎など音が気になる場所を避ける

当システムのセールスポイントの1つに、「音がしない」というものがあります。しかし、いくら室内のパネルから音がしなくても、就寝時や読書時などに、熱源機の音が気になってしまっては意味がありません。配置計画時に、施主様にその旨を説明していただき、最終的な設置位置を決定していただくことをおすすめします。

ヒートポンプ式冷温水熱源機の架台

架台が必要な場合は、別途準備する必要があります。 架台には主に以下の種類があります。

一般的には①を使用するパターンがほとんどですが、寒冷地では高置き架台がよく使用されますし、設置スペースに余裕がない場合などは③④の架台が使用されるケースもあります。①はコストが低いですが、②③は金具代+取付工事費が別途かかりますので、事前に施主様に確認を取ることをおすすめします。

注意!

架台はすべてオプション品であるため、必要な場合は余裕をもって調達するようにしてください。当社でも購入が可能です。詳しくはシアーセールスサポートまでご相談ください。状況によっては、下地や取付金具、アンカーボルトなどの準備が必要になる場合があります。詳しくはメーカーの取扱説明書をご確認ください。

熱源機-壁アンカー-THEAR輻射パネル冷暖房シアー
コンクリートアンカーボルトによる架台の取付け

塩害仕様

室外ユニットの設置場所から海までの距離が、約300m~1km以内の場所や、建物の影で潮風が直接室外ユニットに当たらない場所におすすめです。優れた防錆・防腐処理で、潮風から熱源機を守ります。

注意!

塩害仕様は受注生産のため、納期が1カ月程度かかりますので、ご注文の際は余裕を持って、ご準備をお願いします。

必要なものその①-2|熱源機用リモコン

リモコン(水温コントローラー)は以下の種類があります。

1.無線LAN対応タッチパネルリモコン(CMR-3192VM)

こちらのリモコンはスマートフォンでの操作にも対応しています。現在、当社ではこちらのリモコンを推奨しています。

リモコン 無線LAN-長府製作所01-THEAR輻射パネル冷暖房シアー
リモコン02-長府製作所01-THEAR輻射パネル冷暖房シアー

2.多機能リモコン(CMR-2611/CMR-2612/CMR-2630/CMR-2633)

コスト重視のお客様にはこちらをお勧めしています。

リモコン 多機能-長府製作所01-THEAR輻射パネル冷暖房シアー

必要なものその①-3|熱源機用ヘッダーボックス

熱源機-ヘッダーボックス03-THEAR輻射パネル冷暖房シアー
ヘッダーボックスイメージ

複数のゾーン(部屋)を個別に水温コントロールしたい場合は、熱動弁付ヘッダーボックスという制御装置が必要になります。

ヘッダーボックス内部イメージ

各系統の配管をこの機械に集中させ、各ゾーンのリモコンの指示に従って、自動的に熱動弁が開閉して、水温調整をする仕組みです。

電源の種類

単層100V電源を用意する必要があります。

ヘッダーボックスを設置する場所の確保

基本的に屋外に設置する場合が多いですが、マンションや店舗など設置する場所がない場合は、屋内に設置するケースもあります。

注意!

製品に金具等は同封されていません。状況によっては、下地や取付金具、アンカーボルトなどの準備が必要になる場合があります。詳しくはメーカーの取扱説明書をご確認ください。

必要なものその①-4|熱源機用循環水

指定の循環水は基本的に、ヒートポンプ式冷温水熱源機のメーカー純正の不凍液の使用を推奨しています。理由はメーカー純正の不凍液を使用しなかった場合、メーカーからの保証制度が利用できない可能性があるからです。詳しくは、ご使用になるヒートポンプ式冷温水熱源機のメーカーにご確認ください。

不凍液-長府製作所01-THEAR輻射パネル冷暖房シアー
長府製作所製不凍液

おわりに

今回は、【施工編】熱源機と周辺機器―パネル周辺部材の準備 その1ということで、熱源機と周辺機器について説明をしました。熱源機の選定と設置位置の確認作業は、本工事を成功させる上で非常に重要なポイントになります。配置計画を行う方々、実際に施工を行う方々は、本コラムの注意事項をしっかりと押さえていただき、輻射パネル工事を成功させていただければ幸いです。

長府製作所製ヒートポンプ式冷温水熱源機に関する情報はこちら

ヒートポンプ式熱源機|【長府製作所】-石油・ガス給湯機器をはじめ、住宅関連機器を扱う総合メーカーです。 (chofu.co.jp)

著者紹介

吉岡 伸也 テクニカルサポート

千葉大学卒。宅地建物取引士。長年にわたり不動産業・建設業に携わってきました。現在はシアーコーポレーションにて全国の設計事務所様および建設会社様へのシアーの施工に関するサポート業務を担当しています。①配置計画②配管計画③施工指導④故障・アフターサービス⑤オンラインシミュレーターの利用方法についても丁寧にレクチャーします。輻射パネルの工事に関することでしたらシアーテクニカルサポートへお気軽にご相談ください。

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