news
ここでは、輻射パネル「シアー」導入時における、配置計画・施工方法に関する情報を掲載してまいります。はじめて導入を検討されている建築士事務所の方々、ならびに施工をする予定の建設会社の方々に向けて、成功事例・失敗事例などを参考に、実際に現場で注意すべき事項についての情報を定期的に発信していきたいと思います。
まず今回は、輻射パネル導入が成功するか失敗するかを決めるといっても過言ではない「熱負荷計算」について説明します。せっかく導入したのに「効かない」というのが、お客様にとって一番「不幸」な結果です。そうならないよう、まずは建物の熱負荷計算とパネル能力のシミュレーションについ考えていきましょう。
輻射パネルに限らず空調機器を選定する際は“熱負荷”と言う数値を用います。簡単に説明を書くと、熱負荷とは仕切りのある空間内部の温度を一定に保とうとする際に、この空間内部の空気から取り除くべきエネルギー(=熱量)、またはこの空気に供給すべきエネルギー(=熱量)の事を言います。
たとえば、上図の様に仕切りのある空間の外の空気の温度(外気温)が32℃の時、この空間の中の空気の温度(室内気温)を27℃に保つにはどれだけのエネルギー量(=熱量)が必要なのか。ないし、外気温が0℃の時に室内気温を24℃に保つにはどれだけのエネルギー(=熱量)が必要なのかと言う事です。
前者は使用する空調機器(弊社では輻射パネル)の冷房運転時に必要なエネルギー(=熱量)であり後者は暖房運転時に必要なエネルギー(=熱量)と言う事になります。
熱負荷を表す単位はいろいろあるのですが、本稿では以後“W(ワット)”表示と致します。
同じく簡単に説明を書くと、熱貫流率とは空間を仕切る材料の熱の伝達のし易さないし難さです。(下図参照)
少し詳しく説明を進めると、冒頭の仕切りのある空間の外の空気と中の空気の温度差を1℃とした時に、この空間を仕切る材料の1㎡あたりに対して1時間の間にどれだけ熱が通過するかといった事を表す数値の事です。この数値が低い程断熱性能が良い事になります。
熱貫流率を表す単位もいろいろあるのですが、本稿では以後“W/㎡・K”と表示と致します。先ずはそう言う単位と思って頂ければ結構だと思います。
この“仕切りのある空間”を建物に当て嵌めると“室内”となりますし、この“空間を仕切る材料”は屋根 壁 サッシ等になって来ます。この屋根 壁 サッシ等の熱の伝達のし易さないし難さを1㎡あたり且つ温度差1℃当たりの数値にしたものが屋根 壁 サッシ等の熱貫流率となります。
屋根 壁 サッシ等の空間を仕切る材料の平米数(S㎡)と屋根 壁 サッシ等の内外の温度差(⊿T K)及び屋根 壁 サッシ等の空間を仕切る材料の熱貫流率q(W/㎡・K)が判るとその空間の熱負荷が導き出せます。
式にすると、
熱負荷Q(W)=S(㎡)×⊿T(K)×q(W/㎡・K)
となります。(但し開口部が無い場合)
開口部がある室内熱負荷の計算式は上記の式に加え太陽からのエネルギー(日射熱)を加算し、
Q(W)=S(㎡)×⊿T(K)×q(W/㎡・K) +“日射熱”
となります。
尚、本稿では日射熱(の取得)を表す単位に関しても以後“W”と致します。また、日射熱の取得に関する数式等は機会をみて解説させて頂ければと存じます。
開口部(サッシ)がある空間では今迄述べて来た熱量の他に開口部(サッシ)のガラスを通して太陽からのエネルギー(熱量)が入って来るので、開口部(サッシ)がある空間の熱負荷計算をする際には最初の式にこのエネルギー(熱量)を加算する必要がございます。
因みにこの太陽からのエネルギー(熱量)の事を“日射熱”と言います。また日射熱は、直射光による<直達日射>と、青空や雲のある部分からの<天空日射>に分けられるので、直接日差しが入らない北向きの室内でもこの室内の熱負荷計算をする際には“日射熱”の取得を加味する必要がございます。
いかがでしたでしょうか?今回は、シアーの導入を成功させるコツとして、熱負荷計算に関してご紹介しました。輻射パネル導入に際して熱負荷計算がとても重要ということがわかっていただけたと思います。せっかく導入したのに効かないということにならないよう十分に注意をしましょう。次回は、自動熱負荷計算シミュレーター『シアーオンラインサービス|パネル選定シミュレーター』活用した熱負荷計算方法に関して掲載します。また、導入に際して、不安な点や不明な点等ございましたら、シアーセールスサポートまでお気軽にお問い合わせください。輻射パネル冷暖房の施工のスペシャリストが丁寧に対応します。